ある羊飼いが、となりの群れを率いている羊飼いに聞いた。
「あなたのこの羊たちはあまり鳴かないね」
すると、その聞かれた羊飼いがいいました。
「この老いた羊たちは、飼育しやすいんだ」
「なんでもよく聞くし、自由にできるし、従順から」
「それに、年取った羊は餌もそんなに食べないから、草も少なくていいし」
すると先の羊飼い
「でも、群れの中には子供を産めそうな羊もいるじゃないか」
「そんな少ない草じゃ可哀相じゃないか」
「もう少し、餌をあげたらいいのに」
別の羊飼いがいいました。
「むかしから、ずっとこんな方法で飼ってきているから、いいんだよ」
そして別の羊飼いが
「でも、羊の中には言うことを聞かないものも出てくるでしょう」
頭を振りながら
「いや、そゆうときはこう言うんだよ」
「きのう狼を見たぞ、狼が来るかもしれない、狼が襲うかもしれないぞ」
すると、羊たちは、
「もっと羊飼いの持っている拳銃や鉄砲をたくさん買ってください」
「もっと性能のいい高い拳銃や鉄砲を買って、私達羊を守ってください」
「いくら金がかかってもいいから、お願いします私達羊を守ってください」
そう言うんですよ。
「じゃあ、あそこにいっぱい生えている、美味しそうなあの草はどうするんだ?」
すると羊飼いは言いました。
「あれは羊飼いのものだから、だめだ」
「羊飼いが食べたり、売って狼の対策に使うから」
「刈り取ったあとの、根っこの部分をこの羊たちに食べさせたらそれでいい」
「むかしから長い間、そうやってきたんだから」
「でも、いつまでもそうゆう飼い方をしていたら、羊はどんどん減ってゆくじゃないか」
「その時はその時だ」
「そんな先のことはどうでもいい」