下り坂を楽しもう

人生を折り返して、下り坂も終わりに近い爺の戯れ言

迷作 むかしばなし

裏の畑で ポチがなく 正直爺さん掘ったなら 

むかしむかし、あるところに嘘つき爺さんと、正直爺さんが住んでいました。
嘘つき爺さんは、嘘はついてもいいんだ、結果が良ければそっちのほうが大事なんだ。
いつもそう話していました。

結果さえ良ければ、何してもいいので、いい結果を出すのもそんなに難しくありませんでした。

そうして結果を積み上げていきました。
結果が積み上がってゆくと、得られた強くなってきた力を使って、自分に忖度しない人は切り捨ててゆきました。
その結果ついに、一番偉いお殿様になることができました。
お殿様になった嘘つき爺さんは、それでも嘘をつき続けました。

その城下町には正直爺さんも住んでいました。
正直爺さんは、いつも正直で、誠実で、真面目に仕事をしていました。

ところが、ある日、正直爺さんのところに、お殿様から命令が下りました。
お殿様がついた嘘を嘘ではないと嘘をついてくれというのです。
正直爺さんは、そんなことはできないと断りました。
しかし、お殿様は意地悪な家来を使って、正直爺さんに詰め寄りました。
そして、意地悪な家来は、正直爺さんを強く、いじめだしました。
正直爺さんは、苦しくて恐ろしくなり、こんなことなら死んだほうがマシだと思って死んでしまいました。

それから時が過ぎました。
お殿様も長く働いたので疲れてきました。
そして、お殿様の地位を他の人に譲りました。
そのあと、自分は城下町に下りて、あちこちで辻説法をすることにしました。

嘘つき爺さんは、長いあいだ嘘をついてきたので、他にも苦しんだ人がいました。
嘘に騙されて生活が苦しくなって、ついに自分で命を落とした人もいました。
ある若者はお兄さんが死んだので、どうにかして仇をとろうと考えました。

そして火縄銃を作って仇をとろうと考えました。
苦労した末に、ついに手作りの火縄銃ができました。
若者はそれを持って、辻説法していた嘘つき爺さんに向かって引き金を引きました。
ボンという大きな音がしたあと、その若者はお役人に捕まり牢屋に入れられました。

 

結局、嘘つき爺さんも、正直爺さんも寿命が来る前に亡くなったとさ。

この話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。