下流老人の戯言

近頃感じるのは、晩節を汚す人がとても多いことです。

中身のないメッセージ

誰も知らないメッセージ
まもなくパートナーの命日がやってくる。
彼女は3人の幼子を残して逝った。
あれから長い年月が流れた。
0歳だった子供も、成人になった。
僕にとっては、あっという間だった。

彼女から受け取ったメッセージは僕だけが知っている。
家族も兄弟も誰も知らない。
誰にも話すつもりもない。
墓場まで持ってゆきます。

メッセージの内容は想像するしかない。
でも、確実に僕に宛てたものだ。
彼女が死を選んだあの日。
僕は何も知らなかった。
信じられなかった。
彼女は聡明なひとだった。

そのメッセージを受け取った時、驚いた。
彼女が亡くなった日から数えて初七日。
その日は僕の誕生日だった。
当時は取り乱していて気づかなかった。
だいぶ経って、冷静になってから気付いた。

どうして初七日が、僕の誕生日だったのか。
たぶん聡明な彼女は計算していた。

自分が死を選ぶことをパートナーである僕にその訳を微塵も告げなかった。
相談もしなかった。
僕は、あなたの相談の対象となる価値さえもない男だったということ。
僕のような、つまらない男に未練はなかった。

いや、反対に僕を蔑んでいた。
憎んだこともあっただろう。
役立たずの男として。
死んだほうがまし、そう思ったかも知れない。

明確なメッセージではない。
僕が自分で解明するしかないメッセージ。
僕が死を迎えるまでに考え続けなければならないメッセージ。
自責の念を持ち続けなければならないメッセージ。
まもなく彼女の命日がやってきて、僕の誕生日もやってくる。