下り坂を楽しもう

人生を折り返して、下り坂も終わりに近い爺の戯れ言

ケセランパサラン

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ダウンがキーボードの上に載っていた。
ある水鳥の体を暖めていたはずのダウン。
今は僕の体を暖めていてくれる。
でもこの1つのダウンは、逃げ出した。

むかし、自分を育ててくれていた飼い主に戻りたいと。
どこに、その飼い主がいるかも知らずに、逃げ出した。
行く宛がわからないのなら、もう一度僕の体を温めて。
そう思ったけど、元に戻るのは難しい。

ジャケットの繊維の間、から古巣に戻るのは困難だ。
じゃあ、今はそのままキーボードの上で休みなさい。
そのうち、掃除機のパックの中で寿命を終えると思うけど。

でも、これまで僕の体を暖かく守ってくれたことには感謝します。
ありがとう。
そして、お疲れ様。
これからは、あなたのように、逃げ出すものが出ないように。
そっと大事に、ジャケットを扱うことにします。

そういえば、以前、あなたに似たものを見たことがあります。
名前はケセランパサランだったかな。
いや、ちょっと待って。
ひょっとして、君はダウンじゃなくて、ケセランパサランじゃないの?
だったら、幸運を呼ぶ妖怪ですか。

では、あなたを僕のペットにします。
名前はもっと短くして、ケセパサにしましょう。
あなたに意思はあるのかな。
サボテンには意思があるらしい。
きっとケセパサにも心があるのかも。

だって妖怪なんだから。
しばらく一緒に生活することにしましょう。