下り坂を楽しもう

人生を折り返して、下り坂も終わりに近い爺の戯れ言

3ヶ月が経ちました。

この3月から働き出して、3ヶ月が過ぎました。

初めての介護の世界。
もちろん報酬は低いけど、こんなにもまったりとした時間の中で働いています。
相手は老人なので、その動きに合わせるとどうしてもゆっくり、時間が流れます。
それに僕は介護について何の経験も資格も持っていないわけで。
でも僕の周りはみんな資格を持った経験者たち。
なので僕だけが浮いているような気がしないでもない。
ただ、思ったのはみんなITが苦手のよう。
ダイイチ、未だにFAXが活躍しているし。
社員の連絡も、なんと連絡網を使っているし。
誰もメールアドレスを使っていないみたいだ。
まぁ、そんなことはどうでもいいけど。
このところちょっと悲しいことがありました。
うちの老人ホームにKさんという高齢の難病を患った男性がいました。
ホームに入ってから、元気も出てきて笑顔もたくさん見られるようになって来ました。
職員たちとも打ち解けて毎日を楽しく過ごされていました。
ところが先日からご家族の方が見えられて、一生懸命他のホームに移るように勧められるのです。
しかし本人は、頑としてこのホームがいいから移る気は無いと訴えておられました。
でもそのうちに、ご家族と違うホームの方と結託されたようです。
そしてついに、Kさんに嘘までついて他のホームに連れてゆかれました。
ある日、うちのホームに来て、その日だけまるで遊びに出かけるようにしてKさんを連れ出しました。
そしてそのあと、違うホームのかたがたが来てKさんの荷物をみんな運び出してしまいました。
介護で一番大事なことは、本人の気持ちを一番に思うことだと思うのです。
それを、本人に嘘までついて自分たちのホームに入所させるなんて信じられませんでした。
今頃あのKさんがどれほど悲しい気持ちに浸っているかと思うと心が痛みます。
ホームを出る時にも、職員は誰も見送りはできませんでした。
職員の中にはうっすらと涙を浮かべている人もいました。
入所者を増やすために、そこまでするような施設があることを知り、悲しくなります。
嘘をつくことにためらいの無い世の中になったのかな、そんなことを思いました。